抽象画  Abstract Paintings

Copyright © 2016 OHISHI Yoshihiko

 

大石 慶彦《バランスシート》2016年、アクリル、鉛筆・紙 309×218㎜

 

複式簿記の勉強をやっていて、「バランスシート(貸借対照表)」の「アシメトリー(非対称性)」に気が付き、抽象画に描いてみた作品です。

 

「フロー」、つまり「努力」だけでは到底の説明できない、個々人で異なる多様な先天的な「才能」や、絵画作品や貨幣の貯蓄などを現わす「ストック」という概念が、欧米人の間では元々昔から言葉として共有されているみたいで、この後者の「ストック」を現わすのが「バランスシート」である、と今では理解しています。

 

一般的に個人で使われている「単式簿記」は、「収益・費用・損益」という「フロー」の側面だけを見ていますが、法人で使われる「複式簿記」の場合は、「資産・負債・資本」という「ストック」の側面もしっかりと見ます。

 

近年はアメリカのニューヨーク、ヨーロッパのドイツ、アジアの中国などが、世界のアート産業の中心地となっています。日本がこうした芸術文化大国と肩を並べるには、「ストック」という概念の深い理解と、その実践に答えがあるのかも知れません。

 

私自身が「負のストック」である借金を返済している時に、この絵を描きました。今となってはもう借金はすでに完済して負債はありませんが、まだ「正のストック」がある訳ではありません。

 

私の父方の家系は武家です。「武士は食わねど高楊枝」や「宵越しの金は持たない」というのが江戸時代の武家の美意識だったようですが、父の場合は大変真面目な働き者でたくさん稼いでいたのですが、それ以上にギャンブルなどで借金をして浪費しており、一時は数千万円以上の負債を抱えて雪だるま式に膨らむ複利の利息も含めて返済していました。

 

私の母方の家系は公家で、奇遇にもあの日野富子の出自の日野家です。私は大学時代は経営学部でしたが、歴史にも興味があって学芸員課程の「地域社会の民俗」という講義を1度受けたことが有り、そこではこれまた奇遇にも「日野富子と足利義政と足利義尚」についての内容を学びました。

 

室町時代後期の、足利家の家庭内不和と似たようなことが、過去に私の家族内でも展開されていたので、その時には大変驚きました。しかも、母は商業高校を出ていながらも理性的には複式簿記を全く理解していなかった筈なのに、1980年代後半のバブルの時期に直観でマンションを約3000万円の高値で売る、という先天的かつ感性的な商才を持っていました。

 

前世で学びが足りなかったから、今世でもう一度経営と経済について学び直しなさい、という事だったのでしょう。不思議と、私の大学進学時には、銀行から教育ローンを借りることができたり、親戚から教育費を貸して頂いたりと、スムーズに事が流れていました。父も私も浪費家という点で共通していたので、すべては必然だったように思います。

 

尚、足利義尚は文化人としては高く評価されていたみたいです。前世が誰だったとかユング心理学的なシンクロニシティの様々な種類とその意味など、スピリチュアルな事柄については私はまだまだ素人であり勉強不足なので、プロのスピリチュアル・カウンセラーのように論理的な説得力のある説明や確証はできませんが、ひょっとしたら今世で大学時代に美大・芸大に入れなかったコンプレックスの埋め合わせと、父と似たような私自身の浪費癖という罪の償いの両方の意味で、アーティスト・画家という神聖な天職に、私は就かせていただいているのかも知れません。

 

職業というのは、適職も天職も、綱渡り的な神聖なものであると、今では体験的に理解しています。